内容紹介

【原作者】ウフィツィ美術館館長 アントニオ・ナターリ

ウフィツィ美術館におけるルネッサンス、マニエリズム、17世紀絵画部門、及び現代アート部門の監督責任者。特に15、16世紀の絵画に造詣が深い。レオナルドに関する最近の研究は次の出版物にまとめられている。

  • Il giardino di delizie(悦楽の庭園)
    (美術館にあるレオナルド作品の評論、Silvana Editorialeより出版)
  • Leonardo e il mito di Leda(レオナルドと、レダの伝説)
    (2001年にヴィンチで開催された展覧会のカタログ、Silvana Editorialeより出版)

1. 謎につつまれる作品

1472年頃、後に万能の天才と呼ばれる青年レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた「受胎告知」は多くの謎につつまれた作品です。
画家、建築家であり、また『美術家列伝』を執筆した16世紀の伝記作家ヴァザーリは、若きレオナルドが、師であるヴェロッキオの助手として「キリストの洗礼」を制作する際に、絵の中の「横顔の天使」の一部分に色付けをしたという細かな史実を見逃さずに書き残しています。そのヴァザーリが「受胎告知」に関しては何も残していません。なぜヴァザーリは、沈黙を守ったのでしょうか……?

DVDキャプチャ画像1

2. 受胎告知に隠された“レオナルドの意図”〜海にそびえる山〜

「受胎告知」の構図には、レオナルドのある意図が隠されています。
この絵の構図に目を凝らすと、まず背景に描かれた海にそびえる白い山々が見えてきます。これまで美術史家やレオナルドの研究者たちが頭をひねってきた背景の山々は、いったい何を象徴しているのでしょうか……?
最新のコンピュータ・グラフィックスを駆使して、その謎に迫ります。

DVDキャプチャ画像2

3. 作品が鑑賞されるべき視点

若きレオナルドの描いた「受胎告知」は、しばしば、その作品の拙さが指摘されてきました。
斜めに描かれた建物の壁面を指して壁の幅が短すぎる……。聖母マリアと書見台があまりに離れているので、彼女の右腕は脱臼を起こしている……。
しかし、もしこの作品が、右側から見上げるように描かれたのだとすれば、これまで拙さと指摘されていた声は、彼の見事なまでの洞察力とテクニックへの賞賛に変わっていくことでしょう。コンピュータ・グラフィックスを駆使して、視覚の魔法を駆使した天才の創造力を再現していきます。

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『DVDを鑑賞される皆様は、この作品の新たな素晴らしさを発見することができるでしょう』
(ウフィツィ美術館館長 アントニオ・ナターリ)